Good morninng
目が覚めた瞬間、自身の隣で、瞳を閉じ、シーツに頬を擦り付ける姿に、思わず深い笑みが零れた。
【 Good morning 】
一番好きな所は、アクアマリンとスフェーンの幻想的なオッドアイ。
特に、甘い蜂蜜の様な、薄い金色が好きで、白蘭は隙があれば、すぐにの左の目蓋に口付けを落とす。
初めは、酷く嫌そうな顔をしていたも、慣れたのか、最近では余り反応してこない。
それはそれでつまらないものがあったが、口付ける度、機嫌を損なわれるより、ずっと良い。
「君、朝だよ。」
淡い黄色の陽光が差し込む、心地良い空気。
波打ったシーツに頭を擦り付ける様にして、瞳を閉じるの肩に手を触れさせ、白蘭は、その左の目蓋へと、唇を押し当てる。
「んー……。」
は、余り寝起きが良くない。
名前を呼んで、体を揺さぶっても、覚醒までにかなりの時間が掛かる。
その、緩く生温い時間を、白蘭は、密かに気に入っていた。
「ほら、起きて。」
甘く顰めた声で囁きながら、唇を押し当てた目蓋を軽く吸い、睫毛の際にそって、舌を這わせる。
その感触に、鬱陶しげに伸びてきた腕を掴み、手の平を合わせ、指を絡めてシーツに縫い止める。
瞬間、はら、と首筋の上から、シーツに散った黒髪。
その一房を指先で掬い上げ、普段は隠れた首筋に、そっと指先を這わせれば、すぅ、と眠たげな瞳が、目蓋を開けた。
「………セクハラ。」
「ヤダなぁ、スキンシップって言ってよ。」
開口一番、もれた可愛らしくない言葉は、余りにも彼らしく、思わず、喉の奥から笑いが零れる。
そのまま、軽く舌先を伸ばして、薄く開いた唇を舐めれば、ぴく、と小さく震える肌が愛しかった。
「寝起きの、可愛い。」
「……うっせー、エロエロ大魔神。」
「うわ、何ソレ。」
ちゅ、と唇を押し当て、微笑めば、気だるげに腕を払い、ごろ、と横を向く体。
そのまま、眠たそうに瞳を移ろわせ、シーツに頬を擦り付けながら、は、今一呂律の回らない言葉を吐く。
眠気に、くたりと力の抜けた体。
再び、眠りの波に攫われようとするの体を、柔らかく抱き寄せながら、白蘭は、長い髪が隠す耳元を掻きわけ、そっと、唇を当てた。
「ダメだよ、君、起きて。」
「………ヤダ。」
「起きないと、食べちゃうよ?」
くす、と喉を震わせて笑い、柔らかな耳朶を、掬い上げる様に舐め上げる。
その感触に、微かに肌を震わせたに気を良くし、白蘭は、指触りの良い髪を撫でながら、唇を、ゆっくりと首筋へと這わす。
軽く唇が触れた瞬間、ん、と顰めた声が上がり、砕けた身体が、震えて。
逃げたがる様に、緩く肩を押してきた腕に構わず、覗かせた舌先で首筋のラインを、ぞろりと舐め上げればの身体が大きく震えた。
「ンッ……はぁ……っ」
「そんな気持ち良さそうな声出しちゃって、ホント、やらしーなぁ……。」
「白蘭……はな、せ、」
顎の裏を擽る様に舐め、喉仏に唇を押し当て、ゆっくりと舌を這わせる。
その動きに、閉じかけていた瞳が開き、代わりに、緩く水を湛えて、揺れて。
微かに乱れた呼吸を纏わせ、やめろ、と肩を押してくるの首筋を、白蘭は、ちゅ、と音を立てて強く吸った。
「んぁッ」
「あー……、すっごい、ムラムラしてきたかも……。」
「はなせ、って、言ってんだろ……っ」
「うん、ゴメン。本気で食べて良い?」
零れた艶やかな声に、ぞく、と背筋が震え、熱い衝動が湧き上がる。
そのまま、嫌がって逃げようとするを深く押さえ込み、白蘭は、にこ、と柔らかな微笑を浮かべた。
「そんなやらしー声出す君が悪いんだからね?」
「………しね」
「可愛くない事言っても、まだ呂律回りきってないし、可愛いだけだよ?」
「ッ……」
薄く染まった眦に口付け、すぅ、と指先で掻く様に首筋を擽れば、は、息を詰めて、震える。
その姿態を、じっくりと見下ろしながら、白蘭は、濡れた舌先を、の首筋に緩く這わせ始めた。
「ンっ……ふぁ、は……い、ヤダ……」
「ふふ、君、首筋、弱いもんね?」
「わ、かってたら……や、めろ、変態……ッ」
「恋人に対して、それはなくない?」
「んぁ、」
上から下に、喉仏を通って舐め下ろし、特に過敏に反応を示した箇所を丹念に嘗め回して。
ゆる、と首を振って、肩を押してくる手の平には、碌に力が入らない。
首筋は、の体の中でも、特に弱い場所。
幾ら可愛くない罵倒を吐こうとも、ここを丹念に愛撫してやれば、は、すぐに熱い息を吐き、体を震わせるばかりになる。
「ッ……んン、」
濡れた舌先で首筋の皮膚を擽り、濡らし、時折、音を立てて吸い上げて紅い痕を刻む。
そうして、首筋を這う蒼い炎の刺青を、ゆっくりと辿る様になめ上げれば、組み敷いた身体が、一瞬、逃げる様に、身じろぐのが解った。
「ふふ、そんなに焦らなくても大丈夫だよ?時間はたっぷりあるからね?たっぷり可愛がってあげる。」
「しごと、しろ、エロボス……」
「僕には、有能な部下がいっぱいいるからねー。仕事しなくても問題ナーシ。」
逃げる様に身動ぎ、跳ね、震える体。
その度に、首筋に、肩にかかり、零れ落ち、白いシーツの上に、はらりと広がる黒い髪。
項を覆い隠すその髪を、掻き分ける様にして、白蘭は、そっとの項を手の平で包み、擽る様、指の先で撫でた。
「ッ……や、ヤダ……やめ、」
「本当に、首筋、弱いよね。そんなに気持ち良いの?」
「う、るさ……っふ、ぁ」
ゆるゆると肌を擽る様に、緩く指を這わせるだけで、睨みつけてくるオッドアイが、じわりと滲む。
金色の瞳から零れ落ちかけた雫を、舌先で掬い取り、戯れの様に唇に口付けた後、白蘭は、焦らす様な動きで、の鎖骨の窪みへと唇を押し当てた。
「ッ……んぅ」
くっきりと浮き出た窪みに軽く歯を当て、舌先で擽って。
そのまま、滑らせる様に開いた片手を、裸の胸元に滑らせれば、ややあって、小さな尖りにぶつかる。
「やらしーね?まだ、僕、首しか触ってないのに。」
くす、と喉を震わせて微笑み、十分な尖りを持った胸の突起に触れれば、が、微かに眉根を潜め、唇を噛む。
それを宥める様、咎める様に、手のひら全体で包む様に項を撫でながら、白蘭は、指先を触れさせた尖りを、緩く、力を加えて押し潰した。
「……っは、ぁ」
先端を擽る様に撫で、ぐり、と微かに力を篭めて押し潰し、そして、育て上げる様に撫でて。
爪先を引っ掛ける様に擽り、周囲の皮膚ごと、ゆるりと指の腹で撫で付ければ、が、微かに瞳を移ろわせ、熱い息を吐き出す。
それを褒める様、微笑と共、ぞろりと首筋の皮膚を舐め上げてやれば、息を詰めたが、小さく膝を立て、身じろいだ。
「……ホント、やらしーなぁ、は。」
「ッ……ぅ、く……う、るさ……んンっ」
「こっちは、もう少し、我慢ね?後で、泣いちゃう位、可愛がってあげるから。」
軽く足の間を割く様に、膝を潜り込ませ、すりあげる様に下肢を擦れば、が瞳を閉じ、体を跳ね上がらせる。
瞬間、逃げる様に身じろぐ体。
それを反射的に、追う様、深く体重を沈めれば、ベッドのスプリングが、微かに、きし、と音を立てたのが解った。
「っぁ……ぅ、ン……」
親指の腹で、押さえつける様、押し潰す様に胸の紅い尖りを慈しみ、もう一方の尖りに、そっと唇を寄せる。
血の様に紅い舌を覗かせ、擽る様にして、小刻みに舐め上げれば、甘ったるく濡れた声が、白蘭の鼓膜を打つ。
じわじわと沈殿していく快楽に、跳ね上がった呼吸と、それに呼応し、大きく上下する胸。
それを慈しむ様、時折、手の平全体で撫で上げる様に慰撫すれば、びゃくらん、と甘えた声が、名前を呼んだ。
「ん?なぁに?」
呼ばれた名前に、とびきりの笑顔で応え、瞳を覗きこんで、視線を合わせる。
生理的な涙で、微かに滲んで、揺れた様に映る、金色と水色。
目元に差した朱は、快楽と羞恥の両方によるものだろう、と口元を綻ばせながら、白蘭は、緩く、手の平での腰を撫でた。
「何かして欲しい事があるなら、ちゃんと、言って?」
よく、意地が悪いと、に言われる。
それでも、それが己の性根なのだから、仕方ないと、白蘭はいつも思う。
自覚はある。
けれど、直す気はない。
そう、微笑で以って返せば、は、いつも、不貞腐れた様に、唇を尖らせる。
それがまた、自身の加虐心を煽るのだが、白蘭は敢えて、それをには伝えなかった。
「………っ、」
「ほら、言って?僕に何して欲しいの?」
「ぅ……」
「僕に、何されたいの、?」
瞳を合わせ、喉元を擽りながら、洩らした言葉に、ぴく、との目蓋が震える。
そのまま、微かに、快楽に蕩け始めている瞳を瞬かせ、小さく、腰を浮かせたは、緩い動作で、白蘭の首を抱き、引き寄せた。
「も……さ、われよ……ッ」
「どこを?」
「ッ……、ココ……ッ」
焦らす白蘭を睨み付け、ぐい、と擦り付ける様に押し付けられる、熱を持った下肢。
大した愛撫も受けずに、熱を昂ぶらせるその様子に、意識せず、口元に笑みが浮かぶ。
そのまま、喉を震わせて笑い、手の平をそっと滑らせる様に下肢に触れさせれば、の声が、一瞬、大きく跳ねた。
「っぅア」
熱く昂ぶり、ゆるりと勃ち上がった芯を撫で、根元からゆっくりと指を絡める様に握る。
元より、肌を隠す衣服など、双方、纏っていない。
昨晩も、理性が壊れる程に交わったと言うのに、と白蘭は、自分達の浅ましさに、笑った。
「ん、気持ち良い?」
「ッ、ン……んっ、」
「もう、濡れてきた。」
軽く上下に扱き上げ、戯れの様に、根元の膨らみに指を這わせ、擽る動きを繰り返せば、ややあって、紅い先端の割れ目から、じわ、と濡れた蜜が滲み出す。
微かな粘性を孕むその蜜を、指の腹で存分にかき回し、塗り広げる様に幹を撫で下ろしながら、白蘭は、荒く乱れていくの呼吸と声に、耳を澄ませた。
「っぁ……ン、ッはぁ……」
「君、もうちょっと、足、開いて。」
「っふ……っ、は、」
「うん、そう……。良い子だね……。」
するりと腿を撫で、囁けば、然程抵抗なく、従順に開かれる脚。
自身もそうだが、もまた、快楽に対しては大いに従順な所がある。
与えられる快楽は教授してしまった方が楽、と割り切っているのだろう、は、白蘭の首根に腕を絡ませ、緩く、腰を揺らした。
「ンん……ッ」
薄く内腿に指を這わせ、擽った後、昂ぶった花芯に指を絡め、きつく締め付けながら、上下に扱く。
その度、零れた蜜が指に絡みつき、淫靡な水音を響き渡らせ、情欲を煽る。
「っは……、ホント、やらしー……。」
じわりと熱を持ち、薄く汗ばんだ体。
呼吸の度、大きく上下する胸は、それだけで、何故か酷く淫靡で。
汗で首筋に纏わり付く、黒い髪を、す、と指で払い除けてやれば、それだけで、は肩を震わせ、湿った吐息を吐き出した。
「っぁ……ア、ぅく……」
先端を指の腹でなぞり、括れを引っ掻いて、根元まで下がる。
つぅ、と裏筋を掻く様になぞり、強弱をつけて揉みこめば、びく、と跳ね上がった腿が、薄く痙攣を起こす。
紅い先端で、丸い雫となり、とろりと零れて行く甘い蜜。
膨らんだ欲望に、ぬるついた軌跡を残しながら、ゆっくりと伝い落ち、腿を汚し、白いシーツに薄い染みを残す、その淫靡な光景に、白蘭は瞳を細め、小さく喉を鳴らした。
「イって良いよ、君。」
「っふ……ン、ぅ……っは、」
「ほら、イって。僕に、イくとこ、見せて?」
ぬるついた先端を指でなぞり、鈴口に軽く爪先を這わせ、激しい水音を響かせながら、敏感な熱を扱く。
急に勢いと力を増した愛撫に、震える体と、切羽詰った様に引き攣れる呼吸。
塞ぐ事が出来ず、微かに唾液で濡れる唇に口付け、白蘭は、薄く上下するの喉下に、強く舌を押し付けた。
「ッ、ぅ、アぁッ」
舌を押し付け、首筋をきつく舐め上げた瞬間、跳ね上がった体と呼吸。
そのまま、解放を施す様に、捕らえた芯もまた、強く、上下に捏ね上げれば、一層、その震えは酷くなり、痙攣へと変わる。
艶っぽいラインを描く腰が、断続的に跳ね上がり、呼吸が引き攣れ、高い声が、白蘭の耳朶に響く。
そうして、その後を追う様、噴出す様に跳ね上がり、自身の指と、の引き締まった腹部を、熱い白濁が汚した。
「っぁ……は、はっ……」
絶頂に、一気に弛緩し、くたりとシーツに沈みこんだ体。
荒い呼吸を吐き出しながら、肌を上気させ、震えるその様子に、白蘭は、伸ばした舌先で、ぺろ、と唇を湿した。
「君の肌って、セーエキに濡れると、すっごくやらしいよね。」
「……っは……、変態。」
「だって事実だよ?」
引き締まった腹部に零れ、ゆるりと伝い落ち、臍の窪みに溜まった白濁を指先に掬い取れば、かぁ、と染まる頬。
ぬるりとした白濁を指に絡ませ、舌を覗かせて見せれば、ふい、と横を向き、は、シーツに潜り込もうとした。
「コーラ、ダメだよー?まだ終わってないんだから。」
「うるさい、もう、やんない。」
「ダメダーメ。そんな我侭は聞かないよ?自分だけ、気持ち良くなって終わりなんて、ダーメ。」
恥ずかしがっているのか、ただ単に機嫌を損ねたのか、シーツに潜り込んだの腕を掴み、半ば強引に引く。
それに抗う様、シーツにしがみ付く様子に、白蘭は、くつくつと喉を震わせ、遊ぶ。
「あんまり駄々捏ねると、もっとやらしい事、しちゃうよ?」
「やだ、しねぇ、寝る。」
「ふふ、ホントに悪い子だねぇ、君は。」
嫌がって、首を横に振り、シーツに懐く。
その姿に、薄く微笑を刻み、シーツから覗いた黒い髪に、白蘭は音を立てて口付け、ぐい、との腰を抱いた。
「っ、オイ、」
狼狽するに構わず、脱力した体を抱き上げ、仰向けの体勢から、うつ伏せに引っくり返す。
そうして、シーツに隠れた足を無造作に暴き出し、腰を抱え上げて、大きく左右に押し開けば、焦ったの声が響いた。
「ちょっ、白蘭、待てっ、て」
「ダーメ。悪い子には、お仕置きしちゃう。」
「ヤ……ヤる、から!ヤるから、この体勢、やめ」
「お断りだよ。」
こちらを振り仰ぎ、腕をついて上半身を起こそうとするを、背中を押して押し止めながら、白蘭は、焦らす様、腿を撫でる。
そうして、そのまま手の平を双丘にゆっくりと這わせ、緩く撫でた後、その隙間へと滑らせれば、組み敷いた身体が震えるのが解った。
「っぅ、びゃく、ら……ッ」
腰を高く上げ、足を開き、覗かせた蕾を、ゆっくりとなぞる。
その、まるで強請る様な体勢に、は頬を染め、瞳を滲ませて、唇を噛む。
普段、人の優位にばかり立ち、組みしかれる事は勿論、何かを強いられる事さえないにとっては、酷く、屈辱的な状況。
堪え切れない羞恥と悔しさに、強く唇を噛み、シーツを掴むの姿に、白蘭は瞳を細めて笑い、蕾を撫でた指先を、ぐ、とその奥へと沈めた。
「っぁ……」
挿れた瞬間、指先に纏わりついた、濡れた感触。
ぐい、と奥に指を押し込み、入り口を開く様に動かせば、昨夜の名残が、微かに零れだし、とろりと腿を伝っていく。
堪らなく淫靡な光景。
昨晩、呑み込ませた白濁を吐かせる様、二本目の指を浅く挿入し、入り口を開いて、掻き出せば、やだ、と消え入りそうな声が響いた。
「ッ……ふ、ぁ……」
「ふふ、恥ずかしいの?君。」
「ん、ぅう……」
「それとも、気持ち良いのかな?」
空が白む程に長く交わりあった体は、浅く呑み込ませた白蘭の指を、柔らかく締め付ける。
円を描く様、僅かに奥に含ませてやれば、柔な内壁は更にきつく白蘭の指を締め付け、更に奥へと、誘おうとする。
その誘いに応える様、揃えた指先を二本、一気に奥まで挿し込めば、の声が、高く、揺れた。
「ぁ、アッ……」
「気持ち良いんだ?凄く、やらしい声、出てるよ……。」
「っ……ぅン……んっ」
奥を掻き乱し、ゆっくりと指を引き抜いて、また穿つ。
時折、指を挫いて内壁を撫で、ばらばらに指を動かせば、は、シーツに額をすりつけ、息を乱す。
その内に、再び、熱を持って昂ぶり始めた前に、指を絡め、掻き回す動きにあわせて扱いてやれば、零れる声は、一層、甘さを増した。
「っは……ぁ、あ……ンッ」
指を絡め、先端をなでてやった瞬間、ぐん、と硬さを増した欲望。
その浅ましさを嘲笑う様、慈しむ様、蕾の奥に呑み込ませた指先で、敏感なしこりを撫でてやれば、支えた腰が大きく揺れる。
律動に似た指の動き。
その動きに合わせ、揺らめき始めるその動きに、白蘭は、はぁ、と熱い息を吐き、蕾に呑み込ませた指を抜いた。
「っぁ、」
ぬる、と滑る感触と共、引き抜いた指。
その質量を惜しむ様、震える蕾の入り口を慈しむ様に撫で、白蘭は、シーツに頬を擦り付けるを性急に抱き起こす。
そうして、微かに瞳を蕩けさせるの頬を撫で、乱れた髪を梳いて整えながら、白蘭は、笑った。
「舐めて。」
薄く開いた唇を指でなぞり、汗で濡れた髪ごと項を引き寄せ、その口元に昂ぶった欲望を寄せる。
断続的な痴態と声に煽られ、勃ち上がった欲望。
その様に、ほんの僅か、躊躇を見せた後、は、すぐさま、楔の根元に指を絡ませ、紅く張りあがったその先端を口に含んだ。
「良い子……。」
先走りの蜜で濡れる先端を舌でなぞり、括れを唇で締め付けて、指と手の平で根元とその下の膨らみを愛撫する動き。
手馴れたその様子に、薄く息を乱し、白蘭は、の髪を撫で、なだらかな背筋へと指を這わせた。
「濡らして、大きくするだけで良いからね?」
「っふ……ン、」
誰もが見惚れる程の端整な顔立ちをしたが、自身の下肢に顔を埋め、欲望を咥える姿は、言葉に出来ない程、淫猥に映る。
舌を覗かせ、先端から根元までを舐め、濡らしていく様子を見遣りながら、白蘭は、背筋を這わせた指先で持って、再び、の蕾の中へ、指を沈めた。
「っぁ、ン……!」
呑み込ませた指先で、ぐる、と熱い胎内をかき回せば、上がる、声。
同時、非難する様に見上げて来る瞳に微笑めば、かり、と先端に歯を当てられ、思わず、濡れた声が零れる。
その声に気を良くしたのか、上機嫌な様子で、濡れそぼった欲望に舌を這わせるに、白蘭は、困った様に笑った。
「ンん……」
濡れた水音が響く。
それがどこから響いているのかが解らなくなる程に、深い快楽に、酔い痴れる。
乱れた呼吸は、最早、どちらのものなのか、境界線が曖昧になってきている。
ただ、お互いが、お互いに感じる温度だけが本物で。
どちらともなく、愛撫の手を弱め、離しながら、白蘭とは、互いの唇を押し当て、深く舌を探り合っていた。
「ッ……ん、んぅ……」
ぬる、と舌を絡め、押し付け合い、互いの肌に触れて、貪りあって。
汗で濡れ、肌に張り付く髪を撫ぜながら、項を探り当て、ゆっくりと擦れば、の手の平も、また、白蘭の首筋を緩く撫で上げた。
「っは……ン、びゃく、ら……」
涙で濡れたアクアマリンとスフェーンの瞳。
何度見ても美しいその瞳は、甘ったるい甘えを孕み、金の瞳は、蕩けた蜂蜜の様に、揺らぐ。
それが堪らなく愛しくて、目蓋に、眦に、好き勝手に唇を押し当て、舐め上げながら、白蘭はの体を抱え上げ、自身の膝の上へと乗せた。
「挿れるよ…?」
濡れた蕾を指で探り、入り口を押し広げる様にしながら、囁けば、蕩けた笑顔で、こく、と頷く仕草が返って来る。
汗で滲んだ肌と、濡れそぼった吐息。
潤んだ瞳と、はら、と首筋を伝い、こちらの頬を撫でる黒い髪。
その全てが堪らなく淫靡で、白蘭は、その痴態に急かされる様、完全に出来上がった楔を、蕾の奥へと穿った。
「ア、」
びく、と震える体と高く上がる呼吸。
構わず、一気に腰を進め、奥の奥まで貫けば、の両腕が白蘭の背に回り、その爪先が、微かに肌に食い込んだ。
「ッ……」
鈍い痛み。
けれど、それも、欲望を締め付けられ、絡め取られる深い快楽の前に霧散し、甘い衝動へと変わる。
その衝動に誘われるまま、深く、腰を押し進め、律動を刻めば、こつ、との額が額に押し当てられた。
「んっ……ンぅ……!」
肌を重ね合い、体の奥深い場所で繋がり、唇を重ねる。
その瞬間、零れる水音に、脳髄が、じんと痺れ、快楽と享楽に酔い痴れていく。
浅ましいと思う。
けれど、それを改める気も、ましてや、やめる気もなく、白蘭は、大きく腰を回し、喘いだを強く引き寄せた。
「ッ……ぅ、あ……んッ」
「ん…、ココ、気持ち良い?」
「っは……はぁ、ア……イっ、そこ、イイ……」
突き上げる動きに、酩酊した様に瞳を蕩けさせ、は、掠れた呼吸を洩らす。
そのまま、ちゅ、と唇に吸いつかれ、舌を差し込まれ、白蘭は、にされるがまま、そっと舌を差し出し、深く口付けを交わした。
「っは……ン、んっ」
濡れた水音。
雄を受け入れる体の、前の方で震える芯に指先を絡め、きゅ、と扱き上げれば、抱いた腰に痙攣が走る。
深い快楽。
つながりあった体の境界線が曖昧になる錯覚。
「ッ……く、ぁ……びゃく、びゃくら……ッ」
「ん、もう、イく?」
「っ……イく、イきた……っはぁ、奥、おくっ」
ぐる、と円を描く様に揺れる艶やかな腰。
その動きにあわせる様、勢いをつけて内壁を突き上げてやれば、淡い色をした二色の瞳がきつく閉じられる。
それをこじ開ける様、舌先で、目蓋の縁をなぞりながら、白蘭は、の欲望を扱き、熱い胎内を激しく掻き乱した。
「っぁ……ぅ、ウ……イく……ッ」
「っはぁ……うん、僕も……。」
「あ……ヤ、おくっ……っは、ぅあアッ……!!」
捕らえた芯の先端を捻り、最奥を突き上げた瞬間、抱え上げた腰が大きく跳ね上がり、震え、熱い白濁が、勢い良く零れる。
それと同時、きゅう、と強く締まった内壁に煽られ、叩きつける様に内部に精を吐き出し、馴染ませる様に軽く腰を揺らした後、白蘭は、果てた楔を、ゆっくりと熱い胎内から引き抜いた。
「……は、お疲れ様。」
「ん……」
くたりと力の抜けた体。
荒い呼吸を吐く、の髪を撫で、額にかかるそれを払い除けてやれば、益々、力の抜けた身体が持たれかかって来る。
その温度と重さに、何処となく心地良さを覚えながら、白蘭は、慈しむ様、の唇へと、そっと唇を押し当てた。
「それ、寄こせ。」
命令口調と共、するりと後ろから腕を首に絡められるのは、いつもの事だった。
その声と、首に絡む腕の温かさに、白蘭は喉を震わせて笑い、自身の口に運ぼうとしていた柔らかなマシュマロを、つい、との唇に押し当てた。
「ん。」
唇に押し当てたソレを、緩く唇を開けて咥え、ついでに自身の指の先を含む。
その熱い感触に、薄く瞳を細めれば、ふ、と喉を鳴らし、笑ったが、肩口に顎を置いてきた。
「まずっ。チョコにしろよ、チョコに。」
「僕はマシマロが好きなんだよ。」
「じゃー、間とって、チョコマシュマロで。」
「じゃあ、今度はそうするね。」
首に絡む腕は、時折、柔らかく、首筋を擽り、胸元にも這う。
その腕に、くすくすと微笑み、マシュマロを一つ、口に運びながら、白蘭は、伸ばした手で、の髪を一房、そっと掴んだ。
「何?甘えてるの?」
「違ぇーよ、妬いてんだよ。」
「んー?」
「その通信係。今度は、随分とカワイー男の子じゃねーの?」
の唇が零した言葉に、白蘭は、あぁ、と頷き、視線を前に戻す。
そこには、報告を中断し、唇を半端に開いたまま、目を丸くしている黒髪の少年が、立っていた。
緊張した面持ちで、微かに頬を染めるその少年に、白蘭は、にこりと微笑み、指に抓んだマシュマロを、咥える。
「レオ君だよ。正チャンの推薦。」
「へー。」
「ふふ、ヤダなぁ、何もしてないってば。首、絞めないでくれる?」
「テメェの手の早さは音速を超えるから、信用なんねぇ。」
するりと柔らかく絡んでいた腕に、微かに力が篭り、耳元で囁かれる声に、微かに険が含まれ始める。
それに、くすくすと喉を震わせて笑い、白蘭は、咥えたマシュマロに柔らかく歯を立て、の頬を、するりと撫でた。
「大丈夫だって、まだ手は出してないから。」
「まだって?」
「あ、嘘々。恐いなー、そんなに怒らないでよ?」
「散々、人の事、抱き倒しといて、まだヤりたりねーって言うのか?テメェは。」
「痛い、痛いよ、君。」
がじ、と歯を立て、首筋に噛み付かれる痛みに、声をあげ、白蘭は、掴んだの腕を下に引く。
その動きに、さして抵抗無く、ソファを乗り上げ、隣に腰掛けてきたの腰を、白蘭は、緩く抱き寄せた。
「僕が信用ならないなら、君、見張ってなよ。」
「………それ、確信犯だろ、テメェ。」
「ふふ、何の事?だって、君、僕が信用できないんでしょ?じゃあ、傍で見張ってるしかないじゃない。」
にこ、と頬を綻ばせ、囁けば、ほんの僅か、唇を尖らせ、機嫌を損ねる。
その唇に、ちゅ、と音を立てて口付ければ、ややあって、は諦めた様に息を吐き、白蘭の腿に頭を乗せる様にして、寝転がった。
「もう良い、とりあえず寝る。」
「うん。起きたら、一緒にご飯食べに行こうね?」
「………ラーメン屋はもう飽きた。」
「えー、美味しいのになぁ、ラーメン。」
膝の上にの頭を乗せ、何気ない仕草で束ねられた長い髪を解き、白蘭の指は、梳く様に黒い髪をなでる。
その指先に、は、ぱたりと瞳を閉じ、ぽつぽつと言葉を返して。
上体を屈めた白蘭の唇が、ちゅ、と唇に触れる音。
「あ、じゃー、レオ君、報告、お願いねー。」
その音の直後、何気ない笑顔で洩らされた白蘭の言葉と、ちらりと片目だけ開いたの瞳に、レオは、頬をひくつかせ、苦い笑いを零すしかなかった。
Fin
~おまけ~
「あー、何、これ、やっぱ六道だった訳?」
「うん、そう。レオ君の方が可愛かったのにねー。」
「このショタコン。」
「ヤダなー、君、本気で目が冷たいよー?」
「本気だからな。」
「あ、貴方達、人が死に掛けている真横で、いちゃつかないでくれますか……!」
「あ、ゴメンゴメーン。」
「気にすんな。」
「気にします!!と言うか、毎日毎日、貴方達、本当に鬱陶しいんですよ……!!」
「ただのスキンシップだよ?」
「僕の目の前でいきなりおっぱじめた事もある癖に何を言いますか、この狐目。」
「だってムラムラしたんだもーん。」
「もんって、本当に腹立たしい人ですね……!!」
「つーか、どーすんの、六道の事。」
「あー、うん、どうしよっかな。」
「殺んの?ヤんの?」
「何ですか、その二択!?」
「殺っても良いけど、ヤっても良いよ?」
「良いよ、じゃありません!!何をさらっと……!!」
「俺もどっちでも良いけど。六道、嫌いだし。あ、でもヤるんなら、3Pな。」
「あ、それ良いねー。僕、一回、やってみたかったんだー。」
「!?」
「じゃあヤる?」
「ヤろっか?」
「ななな、何を!?」
「「3P。」」
「ここ、このエロバカップル!!変態!!色魔!!」
「変態って、お前には言われたくねぇよ。」
「全くだね、恥ずかしげもなくサンバ歌っちゃう骸君にだけは言われたくないよ。」
「サンバは関係ありません!!」